アメジストについて
2月の誕生石 "アメジスト"は高貴な輝きを放つ宝石
『愛の守護石』『真実の愛を守りぬく石』とされるアメジスト
古代から多くの人々に愛されてきたとされる、アメジストの紫色。
特に日本では、最も気高い色とされ、宗教的な儀式では非常に大切にされてきた色と伝えられています。
歴史的には、聖徳太子が定めた『冠位十二階』で最高位の色として崇められ、特に中国では皇帝だけが身につけることを許された色といわれています。
ちなみに水晶の色変種の中でも、最高位に評価されています。
また、『愛の守護石』と呼ばれるように、《愛と慈しみの心》を芽生えさせることによって、真実の愛を守るパワーを与えてくれるといわれています。
ヨーロッパでは『素敵な恋人をまねきよせる石』ともいわれる一方で『高まりすぎた熱情を穏やかにさます力』があると言い伝えられています。
そういったパワーからも恋愛成就に大きくサポートしてくれる素敵なパワーストーンといえるでしょう。
恋の熱情以外にも、ストレスで疲れた心を癒し、落ち着かせ、穏やかな安らぎを与えてくれるといわれる、スピリチュアルパワーの強い石のひとつでもあります。
ヒーリング効果が非常に強く、ネガティブになりがちな方にはポジティブな癒しを。
ハートが傷ついてしまった人には、やすらぎのエネルギーを与えてくれるでしょう。
マイナスエネルギーを浄化し、希望の光で心を満たしてくれるのです。
そして、インスピレーションを強力に高めるとともに、直観力を高めるパワーがあるともいわれていますので、チャネリングやサイキック能力の開発にも力を貸してくれるでしょう。
創造性を高めたい時は、アクセサリーとして身につけていると良いといわれています。
また、アメジストは、生涯絶えることのない精神的な活動を、平穏で静かな世界へと導くサポートを行います。
インスピレーションを高め、瞑想にも素晴らしい効果を発揮してくれるでしょう。
また、この石を枕元に置いておくと心地よい安眠をもたらしてくれるとされるため、不眠に悩まされている人にお勧めです。
アメジストの物語・伝説・言いつたえ
有名なギリシャ神話では、アメジストは美少女の化身とされています。
酒に酔ったバッカス(お酒の神)が、今から最初に出会った人を猛獣(ピューマ)に襲わせようとしていた時、ちょうどそこに通りかかったのが、月の女神の女官『アメジスト』だったのです。
バッカスが獣をけしかけ、今にもアメジストが襲われるという時、この惨事に気づいた月の女神がアメジストを一瞬に純白の水晶に変えました。
その後、酔いから覚めたバッカスは自分の罪を反省し、水晶にぶどう酒を注ぎました。
たちまち水晶は透き通った紫色に変わり、美しい紫色の宝石『アメジスト』になったといわれています。
語源となったギリシャ語の『amethystos』は"酒に酔わない"という意味をもち、古代ローマではアメジストから作られた杯でお酒を楽しむことで、お酒からだけではなく人生の悪酔いから自身を守ってくれるという言い伝えが残っています。
現在でも実際に『アメジストを持っていると二日酔いしない』という人がいるともいわれています。
またキリスト教では『司教の石』と崇められ、宗教儀式の際に用いられ、すべての人々はこの石を指輪として身につけていたと伝えられています。
数多くの伝説や言い伝えをもつアメジストは、現在でもアクセアサリーとしての人気が高く、2月の誕生石としてもよく知られています。
また、透明感のある紫色の天然石のなかで、アメジストは宝石として使用できるただひとつのパワーストーンなのです。
アメジストの色・品質
(濃淡)紫、褐色、灰色がかったものもあります。
和名で『紫水晶』というとおり、濃淡の紫色または赤紫色で、色の濃さが各部で違うといったような色ムラが多いのが特徴。
水晶の色変種の中では最高位と評価されています。
紫色が深く、一様に見えるほど高品質とされています。
宝石品質のアメジストでは、ひびを目立たなくするために合成樹脂の注入が行われることがあります。
アメジストの主要産地
主要産地はブラジル(リオ・グランデ・ド・スル州)とウルグアイです。
その他、インド、南アフリカ、メキシコ、ロシア、アメリカ、ジンバブエ、マダガスカルなどから産出されます。
日本からも、『加賀紫』と賞賛されたほど美しく良質なアメジストが産出されています。
アメジストの鉱物学
和名『紫水晶』のとおり、紫色のクォーツ(石英)をアメジストと呼びます。
その紫色の発色原因は、微量に含有された鉄イオンによるものだとされます。
この紫色は、加熱処理することによって、黄色・褐色・緑色に変わり、更に加熱すると無色になります。
黄色に変色したものは、トパーズと間違えることがあります。
色帯構造やムラのある紫色が特徴で、この紫色が深く一様に見られるアメジストほど良質とされています。
アメジストの紫色は日光で退色しますので太陽光を避けるなど取り扱いには注意が必要です。
さて、このアメジストの紫色。
『なぜ、水晶が紫色になるのか』という謎は、長い間解明されませんでした。
しかし近年、合成アメジストの製造に成功したことで、天然の紫色は共産する放射能鉱物の影響により、着色されるということがわかりました。
アメジストの結晶は、火山岩や堆積岩の低温熱水鉱脈から産出し、六方晶系に属した六角錐の集まりでよく発掘されますが、大きな結晶で発見されるのは、ごく稀です。
特性はクォーツと同じですが他の水晶にはない双晶構造による羽根状インクリュージョンが、アメジストのみ見られます。
アメジストのイミテーション(模造品)にはガラスや合成コランダムが用いられ、無色のロッククリスタルを紫色染色接着剤でくっつけたタブレットが作られたこともあります。
近年、合成アメジストが発達してきており、本物のアメジストとの鑑別を困難にしているといわれています。
アメジストのバリエーション
《アメトリン》
アメジストとシトリンが組み合わさっているものをいいます。
この発色は、水晶を構成している珪素と鉄が入り混じっていることに起因するといわれています。
ほとんどのアメトリンは、放射線処理や熱処理を施されることにより発色しますが、稀に自然のままの状態で紫と黄色を発色するものがあります。
この成分と同じく、穏やかな癒しをもたらすアメジストと困難を克服するシトリンのパワー両方を備えています。
そして『調和』というキーワードを秘めています。
人とのつながりを深め、偏見を改善し、物事を広く多方面から捉えることのできる心をもたらしてくれるでしょう。
また、自己認識と行動のバランスを安定させ、集中力を高めて物事を考えるためのサポートをしてくれるでしょう。
《ファントム・アメジスト》
錘面部分で、紫色と白色が重なりあうアメジストをいいます。
柱状に平行して切断すると五重の塔のような模様が現れます。
ファントムは、きわめてそのパワーが強いことで知られており内部に"ファントム"と呼ばれる山のような層が、幾重にも見られるものをいいます。
これは、樹木が長い時間をかけ作りあげる年輪のようなもの。
悠久ともいえる時間をかけ成長する水晶が地殻変動などにより一時的に成長を止めた後で、再び成長を始めた痕跡なのです。
連なる山々を思わせるファントムクォーツは人生における壁や幾多の困難を乗り越え、成長するためのパワーを与えてくれるといいます。
《コロナ・アメジスト》
アメジストが、アゲートを中心に放射状に成長しているものをいい、別名を『ソーラー・アメジスト』と呼びます。
《ペリステライト》
ブラジルのミナス・ジェイラス州、アメリカのアリゾナ州産のアメジストで、500℃〜650℃の加熱により、グリーンに変色したものをいいます。
このグリーン色は、第二鉄が第一鉄に還元されたことに起因するといわれています。
『グリーン・アメジスト』のほかに、『プラシオライト』『ペリディーン』と呼ばれます。
ちなみに、『ペリディーン』は、ペリドットとシトリンを組み合わせた造語。
1950年から供給が始まり、特にアリゾナ州産のものは、カット・ジュエリーに値するほどの美しさだといわれています。
アメジストのフォルスネーム(誤称)について
オリエンタル・アメジスト
これは、バイオレット・サファイアのことです。